中学受験をする理由はなんですか?良い大学に進学したい、得意なことを伸ばしたい、落着いた環境で過ごさせたい、小学校での人間関係をリセットしたい...などその理由は様々だと思います。
我が家の長女は発達グレーでIQは平均的なもののコミュニケーションが苦手だったり、得意なものと苦手なものの差が大きく生活環境重視して、私立中高一貫校へ進学しました。逆に次女は獣医になりたいという夢があるため、教育環境重視で学校選びをしています。


学校によって得意とする分野も進学実績も異なっています。私立は各学校の教育理念に沿った多様な教育を実践しているため、その中から子どもが過ごしやすい環境を選ぶことができるんですよね。
ただメリットがある反面、中学受験となると受験勉強、模試、志望校選びなど大変なこともたくさんあって費用が掛かるなどデメリットもあります。
この記事に書いてあること
- 発達が気になる長女の特性とどんな環境を用意したいと考えたか
- 勉強が苦手な長女が中学受験をして感じたメリット
- 勉強が苦手な長女が中学受験をして感じたデメリット

Contents
発達が気になる長女の特性と中学受験を選択した理由
メリット・デメリットをご紹介する前にまずは娘の特性を。娘は発達に不安があって、困りごととしては主にこんな感じ。
- 忘れ物がとても多い
- 環境の変化に弱く、行事が多い時期は体調を崩す
- 見通しがつかないこと、経験がないことが苦手で不安が強い
- 自分の考えを言葉にすることなかなかできない
- 言語理解が低くいため口頭での説明だと理解できないことがある
- 板書が苦手
- 感覚過敏(触覚・嗅覚が特に過敏)


言葉や文字の認識が苦手で勉強にもついていけないことがありましたが、娘はイラストやアニメーションの多いタブレット学習との相性が良く家庭学習ではずっとタブレット学習をしてきました。そのため、ICT教育に力を入れている学校がいいかな、と感じていたんですよね。
また、忘れ物も多く内申点のある高校受験は厳しい、環境の変化に弱いため落ち着いた環境で6年間過ごしてほしいと思ったんです。
そんな娘の特性から、私立中学を選ぶ際に重視した点がこちら。
- 少人数制
- 個々を大切にしてくれる
- 面倒見がよい
- 校舎がきれい
- ICT教育の導入
- 部活動への参加が自由
中学受験というと大学への進学実績や偏差値で選ぶようなイメージかあるかもしれません。でも、子どもによっては偏差値以上の大事なのが個性(特性)を活かせる環境だと思います。
お子さんの偏差値だけでなく、ぜひ性格や特性も一緒に併せて学校選びをしてあげるといいかと思います。
発達が気になる長女が中学受験をして感じたメリット
長女が中学受験して実感しているメリットがこちら。
- 高校受験をしなくてもいい(内申点を気にしなくていい)
- ICT教育の充実していて圧倒的に紙教材が少ない
- 感覚過敏の娘が過ごしやすい環境が整っている
- 部活動が自由で種類も豊富
- 授業や生活面でのサポートが手厚い
高校受験をしなくてもいい(内申点を気にしなくていい)
現在中学1年生の娘。
だんだん思春期・反抗期になっています。自我がしっかりしてきて思春期なこともあり、自分の外見や異性だったりいろんなことが気になるお年頃。それ自体は自然なことなので特に問題はないのですが、どうしても気になることがあると気持ちの切り替えが難しい娘は他のことが疎かになります。
何かを注意すると最近は無視をしてくることもあって、親子げんかになることもしばしば....。

また、提出物を忘れることの多い娘には内申点がかなりネックだったんですよね...。
中学生から高校生にかけては気持ちの面で不安定になりやすいため、その時期に受験勉強をせずにのびのび過ごせるのは大きなメリットだと思います。
ICT教育が充実していて圧倒的に紙教材が少ない
私立中高一貫校では公立に比べ、設備面で充実している学校が多いのも特徴。
娘は読み書きや想像することも苦手なため、アニメーションや音声でのサポートがあると内容を理解しやすいです。そのため、娘の特性からICT教育に力を入れている学校を受験しました。
娘の進学した私立中学校では、授業はすべて電子黒板を使用。文字を色分けしたり、アニメーション、画像活用を多く活用していてとても理解しやすい授業内容になっているんですよね。授業で配布されたプリントは自分でスキャンしてPC内で管理、辞書も電子辞書使用なので辞書を引くこともありません。
辞書を自分で調べた方がいいと思われる方も多いと思いますが、娘のような特性をもつ子供にとっては辞書から特定の用語を探すこと自体が難しかったります。
宿題もPC上で完結するものが多く出ていて、PC上で読み上げ機能を利用することができています。また、学校からのお知らせもすべてWEB上で完結しているため本当にプリント類が少ないんですよね。

感覚過敏の娘が過ごしやすい環境が整っている
娘には感覚過敏があって、聴覚、嗅覚、触覚が過敏です。うるさかったり匂いが気になると落ち着いて生活ができません。
感覚過敏の面で、私立中学にしてよかったな、と思う点はこちら。
- 校舎がとてもきれいで手入れが行き届いている(匂いが気にならない)
- 全館空調が管理されているため過ごしやすい
- 給食がなく、お弁当か食堂利用のため偏食のある娘には嬉しい
- 少人数で校内が騒がしくない

トイレの匂いが気になるとトイレに行くことすら我慢してしまうので、校舎の手入れが行き届いているのはすごくありがたいですね。(今はマスク生活のため、以前より嗅覚過敏は落ち着いています。)
触覚過敏の部分では制服も心配でしたが、冬服・中間服・夏服と割と自由度も高く、加えて申請をすると制服以外での通学も認めてくれると言われ安心して入学することができました。
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部活動が自由で種類も豊富
私が公立中学で心配だと感じていたものの1つが部活動。疲れやすくすぐ体調を崩すこと、コミュニケーションに苦手さのある娘には他学年とも密接にかかわる部活は負担になると思いました。
私立中学では部活動にも各学校の特色が出ていて、部活動が公立に比較して自由だと感じます。

娘の進学した中学は部活動は完全自由。入っていない子もいますし、1つだけでなくいくつも掛け持ちしている子もいます。活動が基本週1回、2回なので掛け持ちが可能なんですよね。
また、部活の指導も学校の先生がしているのではなく外部の方が教えに来ていて習い事の延長のようなイメージ。そのため部活内の上下関係も厳しいものはなく、仲良くわいわいと行っているようです。
授業や生活面でのサポートが手厚い
公立中学に行っていないので正確には比較できませんが、サポートが手厚いなと感じています。休んだ際や内容を理解できていない、と先生が判断するとすぐ補習があります。その補習も強制的というより放課後に少しやっていかない?といった感じなので娘も受け入れやすいみたい。
進学実績や学校や規模の大きい学校だとこのようにはいかないかと思いますが、個性や生活面を重視するような学校だと勉強だけでなくいろんな面で手厚いです。担任の先生とも連絡が取りやすく、状況が把握しやすいと感じています。
発達が気になる長女が中学受験をして感じたデメリット
中学受験をして感じているデメリットがこちら。
- お金がかかる(学費・通塾など)
- 受験生生活が辛い
- 友達と離れることになる
- 通学に時間がかかる
お金がかかる(学費・通塾など)
中学受験をして私立中学へ進学すると費用面での負担が大きくなります。公立と私立の差は3倍ほどと言われていて、私立では年間100万前後の学費がかかります。
学費以外にも受験までには通塾費用がかかり、中学受験クラスですと夏期講習、冬期講習などでも費用が必要になります。我が家は6年生になってから算数が集団の中学受験クラスについていけなくなり、個別でお願いしていたので結構かかりましたね...。(塾なしで受験するお子さんもいますので、塾なしであればこちらは問題ありません。)
また、入学してからも学費以外にも通学定期代、昼食、交際費にお金がかかっています。
受験生生活が辛い
子どもの希望で受験する場合でも受験生生活はある程度覚悟のいる生活になります。ましてASDの特性がある娘は、モチベーションの維持がすっごく大変...。


中学受験を辞める!塾も行かない!と言うのに実際に塾をやめる話になると絶対に辞めない!となって娘に振り回されていました...。行きたい学校はあるけど、勉強はしたくない。分かってるけどやりたくない、とダラダラしていて親子喧嘩になることもあったんですよね。
娘の場合、小学校での人間関係は良好だったためそのまま地元の中学に進学する選択肢もあり本当に直前までどちらに転ぶのか分からない状況でした。
友達と離れることになる
中学受験をすると小学校で仲の良かったお友達とも離れることになります。

娘の通っていた小学校は先生方がこれほど落ち着いている学年も珍しいというくらいお友達に恵まれました。娘が困っていると誰かしら手を貸してくれるクラス。発表が苦手で娘が固まってしまうとお友達が一緒にやろう、と誘ってくれる、そんなクラスでした。
そのため、中学受験をしようと考えた際にお友達と離れることが一番心配でした。
それでも見学してこの学校に行きたいという気持ちがあって、中学受験をしました。新しい学校ですぐにお友達ができるかは入ってみなければ分かりません。よくお子さんと話し合って納得して受験しましょう。
通学に時間がかかる
学区の決まっている公立中学に比べ私立中学では通学に時間がかかります。
私立中学に通っている生徒の平均通学時間は1時間程度と言われていて、1時間半かけて通うお子さんも少なくはありません。ただ、毎日のことですので長くなればそれだけ大変になります。
娘も家を出てから学校までちょうど1時間くらい。乗り換えは2回です。朝は授業前に朝学習の時間があるため、7時前に家を出ています。

通学に時間がかかると言うことはそれだけ朝は早く、夜は帰宅が遅くなると言うことです。娘は睡眠時間が短くなると不安定になりやすいため、睡眠時間の確保は本当に大切。帰宅後あまり自由な時間がないまま寝ている感じもあります。
通学自体が辛くならないよう、無理のない範囲の学校を選びましょう。
電車の乗り継ぎや駅からの距離など、候補の学校はお子さんと一緒に実際に行ってみてどれくらいの時間がかかるのか確認するといいと思います。
発達に不安のあるお子さんは慣れない環境や予想外のアクシデントでパニックになってしまう可能性があるため、事前準備は念入りにしておくのがおすすめです。
発達が気になるお子さんには余裕をもった受験計画・学校選びが大切
中学受験にはメリットもデメリットもあります。これは発達に関係なくどの子にも言えることですが、発達グレーの子どもは環境の変化や気持ちの切り替えが苦手なお子さんが多く余裕をもった受験計画が必要だと感じています。

また、受験だけでなく入学してからのことも考えてみてください。
娘は2校受験し、その2校とも合格をいただく事ができました。1校は環境重視で少人数・手厚い指導がウリの学校(学校A)、もう1校は自宅から近い進学校(学校B)です。
偏差値は10以上違います。
娘は最初から一貫して環境重視の学校Aを希望していました。両方で合格をいただくと親の気持ちとしては進学実績のある学校Bにも惹かれましたが、入学者の中で中間~上位くらいには位置していた方が今後のテスト等を考えると過ごしやすいかな、と思い学校Aに入学を決めました。
それが実際に入学してみると、学校Aでも勉強に苦戦しています。
小学校に比べると学習進度が早く、授業数も多いためついていくので精一杯。疲れやすく集中力の続かない娘は中間テストは1日目、2日目、3日目と右肩下がりの点数でした。
テストを受けることで疲れてしまって、3日目の勉強なんてほぼできていない状態。家庭学習ではなんなく解けていた問題すら解答できていませんでした。
これを考えると、進学実績を重視する学校Bを選んでいたらどうなっていたんだろうと思います。
特性が強いお子さんでも、勉強がすごく得意な子もいます。でも娘の場合は勉強嫌い、集中力続かない、ほっとけばずーっとゴロゴロしている子なので勉強を詰め込むより得意な部分を伸ばしてあげた方がいいと感じています。テストの結果だけで言えば今回は散々な結果ですが、本人は楽しそうに学校に行っていてるので十分かな、と。
本人もテストの様子がわかったから、夏休みあけのテストは早めに準備して頑張ると今から言っています。
どの環境が一番いいかはお子さん一人ひとり異なります。
入学したあとにこんなはずじゃなかった、とならないようにお子さんとよく話し合って今後の進路を選んでいきましょう!