我が家の長女はASD(自閉症スペクトラム)傾向と言われています。知的遅延はないものの、苦手なものと得意なものの差が大きく、いろんな面で生活しずらさを抱えています。

そんなそんな勉強に困難を抱える子どもの学習サポートとして注目されているのがデジタル教科書やタブレット学習といったICT(情報通信技術)を活用した勉強法です。

この記事では、勉強が苦手なお子さんの学習法について家庭でできるちょっとした工夫や、ICTを活用した勉強法についてご紹介していきます。
Contents
発達に不安のある子どもが抱える勉強面での困難
代表的な発達障害には強いこだわり、社会性やコミュニケーションなど対人関係に困難のあるASD(自閉症スペクトラム)、不注意、多動性・衝動性を伴うADHD(注意欠如多動症)、読み書きや計算などに困難があるLD(学習障害)があります。
それぞれの発達障害は1つの症状のみの場合もありますが、多くの場合他の障害が重複して見られることもあります。診断が出ていなくてもこういった特性を持ったお子さんは結構いると思います。実際に娘も診断はされていませんが、生活面、勉強面で大変なことが多いです。
発達に不安のある子どもの勉強面での困難は、
- 1つ1つの文字を拾って読むたどり読みになる
- 読んでも、内容が理解できない
- 文章を読んでいると、どこを読んでいるのかわからなくなる。
- 文章・作文を書くことが極端に苦手
- 拗音「ょ」促音「っ」など、特殊音節の間違えが多い
- 黒板やプリントの字を書き写すのに時間がかかる
- 暗算が苦手
- 繰り上がり、繰り下がりが理解できない
- 文章問題が苦手
- 応用問題や図形問題が苦手
- 集中力が続かない
- 同じミスをなんども繰り返す
- 視覚優位で耳からの情報は理解しにくい
などがあります。
LDがなくても集中力が続かなかったり、じっと聞くことが難しいと学力の低下にもなります。
また、発達障害に併存しやすい障害としても知られている発達性協調運動障害があると、鉛筆がうまく使えず文字を書くのが苦手だったり、黒板とノートを交互に見ること(共同眼球運動)が苦手なため板書ができないなどの勉強面での困難さが出てきます。
この発達性協調運動障害はADHDのお子さんの30%~50%、LDのお子さんの50%にみられ、ASDに併発することも多いと言われている症状です。

家庭でできる勉強法の工夫
子どもによって勉強面での困りごとはさまざまですが、家庭でできる勉強面での工夫があります。
我が家でやってきたちょっとした工夫を紹介しますね。
言葉のまとまりごとに線( / )をいれる
娘は国語の音読がすごく苦手で、一字一字を拾って読んでいました。私が読んで聞かせたり付きっきりで何回も練習してもたどたどしい読み方なんですよね...。

そこで我が家では言葉のまとまりや文節がわかりやすいように教科書に直接「線」を書きこんで区切りを意識できるようにしていました。線で区切るだけで読みやすさが全然違うんですよね。
また、文章が読みやすくなるよう漢字にはすべて読み仮名も書き込んでいました。
リーディングルーラーを使う
娘は文章の読み飛ばしも多く、一度本から目を離してしまうとなかなか読んでいたところに戻れないんですよね。段落が変わるときも、同じ部分を二度読みしてしまったり。
そこで使い始めたのがリーディングルーラー。
薄い下敷きのような素材で色がついています。色は全部で11色あって、白い本で目が疲れてしまう場合にもおすすめです。また、ガイドラインと呼ばれる線が引いてあって、文章を読む際にガイドラインに沿って読んでいくと二度読むを防ぐことができるんです。
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単位や大きさ、数のまとまりは具体的な体験で教える
読むこと以外に苦労したのが、数のまとまりやmlやLなどの単位変換。一時的に覚えてもすぐに分からなくなってしまい、算数でつまずいた部分です。
娘は言葉で説明するより体験を通して覚えた方がしっかり身に着くので、数のまとまりはお金で教えました。普段の生活のなかでお菓子を数えるなど数を意識した生活をしていたんですが、繰上りが定着しなかったんです。そこで我が家は繰り上がりや数のまとまりはお金で教えることにしました。
お金の場合、1円、10円、100円とお金の形が変わるのでわかりやすいんですよね。1や10という数も硬貨に書いてありますし。
お駄賃の10円が10個たまったら100円玉に替える、100円が10個たまったら1000円に替えるという体験で教えていきました。
お金で教えるのは算数だけでなく、物の価値を教えることにもつながっていつか自立して生活していく上でも必要な部分にもなったと思います。6年生の今ではお小遣いの管理も自分でしていて計画的にお金の使い道を考えられるようになっています。
算数でもう1つ苦労したのが単位変換。これも具体的なものを使ってイメージできるようにサポートしました。

・物差しやメジャーで実際の長さを測る
・重さをはかりで測る
などです。
娘は料理を手伝うのが好きなので、計量カップで測ったり、牛乳は1パック1000ml=1Lと言うように生活の中で取り入れました。dLはあまり生活の中では出てこないので、お風呂場にdLを書き込んだ計量カップを置いてそれで遊んで自然に覚えました。cmとmは娘は自分の身長で教えるとイメージしやすかったです。
具体的なものを見せたり実際の自分の体験で教えていくと数の大きさがイメージ付きやすくなります。
短時間で終わるように勉強時間を設定
発達障害のあるお子さんは長時間集中していることが難しい子が多いです。じっとしていることが辛かったり、同じ姿勢を保持することが難しい場合もあります。
そのため、勉強の範囲を決めるより、勉強の時間を決めた方が集中して行うことができます。
気持ちの切り替えが難しいことも多く、一度やる気がなくなったら範囲が終わるまで机に座らせていても身につかないんですよね。何時まで、と決めて勧めた方が効率的です。その際にも無理のない時間を設定しましょう。
残り時間が視覚的にわかりやすいタイマーを使うのも効果的です。
発達に不安のある子どもの勉強は特性に合わせてICTを活用しよう
発達障害の特性はその子によって異なっていますが、学習面での困難がある際にぜひ取り入れてみてほしいのがデジタル教科書やタブレット学習と言ったICTを活用する勉強法。
コロナで休校後、小学校でもタブレットやPCの配布が一気に進みましたよね。娘の小学校では1人1台のiPadが配布されていますし、姉の子どもの小学校ではPCが配されているそうです。これまでよりICTを活用した勉強がしやすい環境になっていると思います。
娘も学校用iPad、自宅用iPad、タブレット学習を使い分けています。このほかにも電子辞書やスマホも活用しています。
具体的な活用例をご紹介しますね。
デジタル教科書
令和2年度から実施される新学習指導要領を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や、特別な配慮を必要とする児童生徒等の学習上の困難低減のため、学習者用デジタル教科書を制度化する「学校教育法等の一部を改正する法律」等関係法令が平成31年4月から施行されました。これにより、これまでの紙の教科書を主たる教材として使用しながら、必要に応じて学習者用デジタル教科書を併用することができることとなりました。
2020年からタブレット端末などを利用したデジタル教科書の導入が小中高校でスタートしています。これによって、勉強が苦手な子どもの学習上の困難を音声読み上げ機能や、文字の大きさ、背景色、テキストの色、行間・文字間隔の変更機能を活用することでサポートできるんです。
学校でデジタル教科書を使用したい場合、学校によって使っている教科書やICTの導入状況も違いますので、一度学校に問い合わせてみてください。
なお、デジタル教科書は紙の教科書に代えて使用する場合には授業時数の二分の一未満まで、特別な支援を要する子どもには全時間活用できることが法的に定められています。「特別な支援を要する子ども」については医師の診断が必要等あるかもしれませんので、こちらも併せて学校に確認しましょう。
デジタル教材について教科書協会のサイトがすごくわかりやすいですよ。
デジタル教科書には紙の教科書と全く同じ内容をデジタル化した有償の教科書になりますが、教科書を読むことが困難な子どもには音声教材のデイジー教科書というものもありパソコンやタブレットで文字の拡大・色強調、音声再生を行える教材でこちらは無償で教材提供を受けることができます。
デイジー教科書は日本障害者リハビリテーション協会が「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及と促進等に関する法律(教科書バリアフリー法)」の施行によってボランティア団体の協力を得て読むことが困難な児童生徒に提供を行っているサービスで文部科学省のHPでも紹介されている音声教材です。
タブレット学習
こちらは家庭学習用になりますが、通信教材を提供している会社から販売されているものやWEB上にある小学生向けの無料教材を活用する方法です。
我が家でもこのタブレット学習を家庭学習に取り入れてきました。無償のものも悪くはないのですが、各通信教材の会社から出ている教材は子どもの使っている教科書に合わせた内容を勉強できて、子どもが飽きないような工夫をされている点はさすが。優秀です。短時間で学習が終わるので、集中力の続かないお子さんも続けることができます。
タブレット学習の特徴は各社によって違いがあり、学年に沿った内容が配信されるもの、無学年の(学年を超えたり、戻ったりができる)学習が可能だったりします。タブレット学習は算数では解答方法が具体的に表示されたり、問題の読み上げ機能があるため発達に不安のあるお子さんにおすすめだとされているんですよね。
ダブレット学習が勉強が苦手な子供におすすめな理由は
- 苦手な文字を書かなくていい
- イラストや動画で具体的に学べる
- 問題が音声で読み上げられるのでわかりやすい
- 学習がタブレット1つで完結するので目線の移動がなく気が散りにくい
- 自分のペースで学習が進められる
などがあげられます。
娘はチャレンジタッチをずっと小学校の間使ってきてタブレット学習がなかったら中学受験まではたどり着かなかっただろうな、と思うくらい学習の基礎はタブレット学習で行っていました。
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カメラ、録音、音声入力を活用する
学校で黒板の書き写しが苦手など、文字を手早く書くことが難しい子供にカメラ、録音機能、音声入力機能を活用する方法。
カメラで黒板を写して後から内容を確認できたり、先生の話した内容を後から聞き返すことができます。また、書くことが苦手な場合は音声入力をすることで字を書くことの困難をサポートすることができるのでより授業の内容を理解しやすくなります。
この場合、学校に機器を持ち込むことになりますし、授業中の音声録音等学校側の許可が必要になりますので注意してくださいね。
こちらの本は発達障害の子どものスマホやタブレット活用法について色々と書かれていておすすめ。

勉強が苦手な子の学習法まとめ
今日は発達に不安のある子どもの勉強法について紹介しました。
家庭でできる支援方法のポイントは、勉強のどの部分に苦手さがあるかを明確にして苦手な部分をサポートしてあげることです。読むことが苦手であれば読み上げ機能、書くことが苦手なら音声入力、集中することが苦手なら短時間の勉強を行うなどが有効です。実体験に基づいた記憶は残りやすいので、日常生活のなかで数や言葉の使い方を意識していくと理解度があがります。
そのために便利グッズを使ったり、ICTを取り入れた勉強法がおすすめ。
